「グラングリーン大阪」は、大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期地区」に位置する大規模都市公園で、
2024年9月に先行開業しました。このプロジェクトには、世界的建築家・安藤忠雄氏が深く関与し、
特に文化施設「VS.(ヴイエス)」の設計監修を担当。
「VS.」は、「Visionary」の「V」と「Station」「Stage」「Studio」「Society」などの「S」を
組み合わせた名称で、多様な文化を結びつけ発信する「文化装置」として位置づけられています。
この施設は、地上にガラスとコンクリートの2つのキューブが配置され、地下には約1,400平方メートルの
スタジオ・ギャラリースペースが広がっています。
天井高15メートルの「Studio A」など、没入型の展示やパフォーマンスが可能な空間が特徴。
現在、VS.では「安藤忠雄展|青春」が開催中です(会期:2025年3月20日〜7月21日)。
この展覧会では、安藤氏の代表作「水の教会」を原寸大で再現した展示や、
直島プロジェクトの歴史を模型・映像・音楽で体感できるインスタレーションなどが展開されています。
また、5月17日(土)には安藤氏本人が来館し、14:00ごろと15:30ごろに会場でお話しされる予定。

最近の安藤建築に飾られているりんご。
夕方に安藤忠雄氏の講演会を聞きに行った時の
作品のお話と共に、このりんごのお話をされていました。
いろんな所から、このりんごが欲しいということで注文があるらしく・・・
1個いくら??だと思います?との質問があり・・・
なんと、1個4,500万円。とのことでした。(^^;

しかし、大阪のど真ん中にでっかい芝生広場の構想を提案した時、
大阪府知事、大阪知事等、周りから大反対があったそうです。
そりゃ、そうですよね。
地価の高いところに芝生公園なんて・・・。(^^;
法人税も固定資産税も取れないのに。
しかし、それを押し通して造ってしまうところは素晴らしいです。
まだ、工事中でしたが。(^^;
市民の憩いの場となり、休みにはたくさんの市民の方が来られるそうです。
安藤さん曰く、なんで集まるかと言うと、大阪人はタダが好きたから・・・。(^^;
とのことですが、建物と自然を融合させることは、将来にわたり
きっと歴史に残る空間になるように思います。
ニューヨークのセントラルパークのように。(規模は違いますが・・・)

やっぱり関西人、大阪の人。
でも、世界的な建築家。
安藤氏と同じように発想が出来る人もたくさんいるとは思うけど
それを実行出来てしまうところが凄いところ。


展覧会は撮影OK。
昔からの作品から現在に至るまで、
思った以上に多くの作品が展示してあり、
とても満足する内容でした。
大学の頃に作品集をよく見て、学生のみんなが真似していたドローイング。

住宅の模型が過去からかなりの数、展示してあったり・・・。

六甲の集合住宅の工事中の写真があったり・・・。
こんな崖地に集合住宅を建てれば、景観もよく、
それぞれの住戸から良い景色が見られるやろうなぁって
思うけど、それを実現してしまうところが、
やっぱ凄いところです。


そして、有名な教会。
光の教会。

光の十字架。
光と影。
本来の壁は、床から天井まで繋がっているもの。
しかし、壁が繋がらずに途切れている。
コンクリートの壁を下部は床スラブから立ち上げ、
上部の壁は屋根スラブから吊っている状態。
教会 = 十字架 という発想は出来ますが
それを光で造ってしまうところが凄いところ。(^^)v

そして、六甲の教会。またの名を、風の教会。
「六甲の教会」として知られる「風の教会(Chapel of the Wind)」は、
建築家・安藤忠雄氏が1986年に設計した代表作の一つです。大阪の「光の教会」、
北海道の「水の教会」と並ぶ「教会三部作」の最初の作品であり、
コンクリートと自然光を巧みに取り入れた静謐な空間が特徴。

今はホテルが倒産し、一般に見学することは不可能。
ただし、毎年夏から秋にかけて開催される現代アートイベント「神戸六甲ミーツ・アート」
の会期中のみ、特別に内部が公開されます。
この期間中は、教会内部でアート作品の展示も行われ、建築と芸術の融合を体感できます。

そして、水の教会。
「水の教会」は、自然の要素「水・光・緑・風」を建築に取り入れた設計が特徴。
正面のガラス壁の向こうには水盤が広がり、十字架が水面に浮かぶように配置されています。
コンクリートの壁と自然光が織りなす空間は、訪れる人々に静謐な感動を与えます。


展覧会では、本当の教会のように椅子が並べてあり、
そこに座って、水の教会にいるような疑似体験が出来ます。
雪の景色。

新緑の景色。
ずっと座っていられる空間となっていました。
時間があれば、ここは是非行って欲しい空間です。(^^)v

兵庫県立美術館。
兵庫県立美術館は、安藤忠雄が設計を手がけ、2002年に開館した美術館です。
彼の建築哲学が色濃く反映されたこの建物は、コンクリート打ち放しのモダンな外観と、
自然光を巧みに取り入れた空間構成が特徴。
建築コンセプト:「芸術の館」
自然と建築、アートが共存する空間として設計されており、来館者がアートに加えて「空間そのもの」も
体験できる構造になっています。
シンボル「青いりんご」
建物の外には、安藤氏による《青いりんご》の彫刻があります。これは「未熟であることの可能性」を
テーマとしたモチーフで、彼の思想が象徴的に表現されています。
屋外空間との融合
海に面した立地を活かし、屋外彫刻やテラス空間があり、内と外をつなぐ開かれた美術館です。
「安藤忠雄建築の軌跡」常設展示
美術館内には、安藤忠雄の設計資料や模型などを紹介する常設展示室「Ando Gallery」があり、
彼の代表作を学ぶことができます。

そして、1988年にこの公会堂の再生案を自主的に提案しました。
この提案は、誰からの依頼でもなく、安藤氏自身の発案によるものでした。
彼の構想には、地下に美術館や博物館、図書館を配置する「地層空間」や、
公会堂内部に卵型の建築物を埋め込む「アーバン・エッグ」などが含まれていました。
これらの提案は実現には至りませんでしたが、
後の安藤氏の代表作である直島の「地中美術館」やパリの「ブルス・ドゥ・コメルス」の設計に
影響を与えました。


「アーバン・エッグ」

そして、今回で一番良かったのがパリの「ブルス・ドゥ・コメルス」改修設計。
「ブルス・ドゥ・コメルス(Bourse de Commerce)」は、フランス・パリにある歴史的建造物を、
建築家 安藤忠雄が大胆に改修した現代美術館です。
歴史ある円形建築(18世紀)の内部に、安藤忠雄が直径30m・高さ9mのコンクリート製円筒を挿入。
この「円筒の中に円筒」という構造は、「歴史と現代の対話」を象徴。
地下には映像展示スペース、円筒内には静謐な展示空間が広がる。
上部の**ドーム天井(19世紀のフレスコ画)**と現代のミニマル空間が対照的。
モニターに映っている壁画をより近くで閲覧できるように改修。
既設の建物を壊すことなく、歴史的な建造物の中に
コンクリート打放の筒を建築する発想、そして、実現してしまうところが凄いです。

既設に影響しないように足場を組んでいる映像。

建物の中、この空間に立ってみたいと思える建物。(^^)v

安藤忠雄にとって初の「パリ市内の恒久的建築」。
歴史的建造物を破壊せず、静かに挿入する建築手法(地中美術館、中之島構想に通じる)で評価された。
建築界・美術界で国際的に高く評価され、現代建築と文化遺産保存の両立のモデルとされている。
そして、この作品も普通ではあり得ない発想。
北海道札幌市南区の真駒内滝野霊園にある「頭大仏(あたまだいぶつ)」は、
建築家・安藤忠雄氏が設計したユニークなランドスケープ建築です。
このプロジェクトは、既存の大仏像を新たな視点で再構築し、
自然と建築、精神性を融合させた空間として注目。

この大仏は、もともと2000年頃に建立された「御霊供養大仏」を中心に、
安藤氏が新たに設計した大仏殿で覆われています。
大仏の頭部だけが丘の上に突き出して見えることから「頭大仏」と呼ばれています。

奈良の大仏であれば、全身が建物の中に鎮座し、
風雨の影響を受けないような設計をするのが通常。

しかし、ここは大仏様の頭にも雪が積もります。
この発想を実現してしまうのが安藤さん。(^^)v
普通なら、ばちあたりになるから、こんな建物は却下です。って
お施主様から怒られます。(^^;
ここもいつか見に行ってみたい建物です。

そして、たくさんの作品がある中で安藤さんが設計して寄贈している建物が
大阪の中ノ島、神戸三宮等々、各地に出来ています。
そして、世界へと。


大阪の中ノ島。
講演会でここのお話もされていました。
大学生の頃、中ノ島公会堂の周辺は車が走る道路がありましたが
今は車両が走れない広場となっています。
建築(建物)だけではなく、都市計画まで行い
全体を空間を造りあげ、それを実現してしまう安藤さん。
こども本の森 中之島(大阪市)
- 開館:2020年7月
- 概要:建設費を安藤さんが全額負担し、大阪市に建物を寄贈。
- 運営費は法人や個人からの寄附で賄われています。
- 安藤さんのコメント:「地球は一つ。未来を担う子どもたちには、
- 元気よく自由に世界に羽ばたいてほしい。
- そのために豊かな感性や想像力を育むことが大切」

神戸にもこどもの森 図書館。
神戸のシンボルだった花時計が目の前に移設されています。
こども本の森 神戸(神戸市)
- 開館:2022年3月25日
- 概要:2019年11月に安藤さんからの寄附提案があり、神戸市の再整備構想の一環として実現。
- 建設費を安藤さんが負担し、建物を寄贈。
- 特徴:震災の教訓や命の大切さを学ぶ場としての役割も担っています。

こども本の森 遠野(岩手県遠野市)
- 開館:2021年7月
- 概要:東日本大震災の被災地支援の一環として、安藤さんが建物を寄贈。
- 目的:子どもたちが本を通じて自由に考え、未来への希望を育む場を提供。
こども本の森 広島(広島市)
- 計画:2028年完成予定
- 概要:安藤さんが建物を寄贈する計画が進行中。
- 目的:子どもたちが本と出会い、自由に考える力を育む場を提供。

子供たちのために、設計し、建築し、そして、寄贈。
講演会でもお話が出ていました。
ひとつの建物の総工費が6億円くらいなので安いもんやとの
お話でした。(^^;
地域貢献であると同時に、設計者が施主であるので
自由な設計が出来、後世の残せるという素晴らしい仕事であると思います。
展覧会の最後の部屋の大型スクリーンに安藤忠雄氏にメッセージということで
役所広司氏、佐藤健氏、そして、歌手のU2のボーカルはボノ(Bono)氏が
コメントを送られていましたが、世界の財界、政界、富豪、有名人との交流、
設計の依頼があり、日本の誇る世界的な建築家である安藤忠雄氏。
講演会では、佐藤健氏が写真集を作るのに
安藤氏の建物を使いたいと連絡してきた。
なかなか良い青年だったと言われていました。
下記にその時の記事が載っていました。
写真集の中の写真も載ってます。
やっぱ、建物がカッコいい。(^^)v
未公開フォト&ムービーで建築体験を振り返る。
建築に関わっていない方でも、とても楽しめる展覧会。
建物自体も安藤氏の設計です。

是非とも、一度行ってみて下さい。
7月21日まで。

一般は、1,800円。
売店では、安藤さんのサイン、スケッチ入りの
本が購入できます。
運が良ければ、来館時にお会いでき、
目の前でサインも書いていただけるかもしれません。(^^)v


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