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阪神・淡路大震災から13年!!

震災から13年が経ちました。
今の6年生の選手は、まだ生まれてなかったので、
阪神・淡路大震災を知りません。
しかし、兵庫県で生まれ育っているのですから、
後生に受け継ぐためにも、いろんな資料を見て、
勉強して、震災から立ち直った人々の話を聞いて、
泣いたり、感動したりして欲しいと思います!!
以下に、メールマガジンで配信されてくる
ヴィッセル神戸のピッチ店長の体験を掲載します。
勝手に掲載して問題があるかとも思いましたが、
文章の最後に、
「この日を決して忘れることの無いように、若いファンの方や
震災を知らない選手、クラブスタッフにも読んでもらいたいと
思って今回のメルマガを書きました。」

とありましたので、転載します。
すでに読まれている方もいるとは思いますが・・・。
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ヴィッセル神戸のピッチ店長です。
こんばんは。
今日は1月17日。
阪神淡路大震災が発生した日です。
この震災は、ヴィッセル神戸というクラブにとっても
大きな出来事でした。
震災と同時に生まれたクラブ。
あれから13年が過ぎようとしています。
今日はP店長の被災体験について書きたいと思います。
震災が起きたとき、P店長は大学2年生でした。
四国で育ったP店長は、神戸市内の安アパートで
一人暮らしをしていました。
アパートといっても、米屋さんの2階を間貸ししてくれる、
下宿のようなスタイルでした。
80歳になる大家さん夫婦も、同じ棟の階下に住んでいましたので、
本当にいろいろお世話になっていました。
家族のように付き合っていただいていました。
地震は、突然やってきました。
暗い中、地の底からうなるような音がしたかと思うと、
部屋全体がゆすぶられ、それからはもう何もできませんでした。
必死で布団をたぐり寄せて頭からスッポリとかぶり、
激しい振動がおさまるのを待つだけでした。
ものすごく時間が長く感じられました。
これが地震とは、まだ気づいていませんでした。
揺れがおさまってから、ベッドから起き上がろうとしました。
でも、うまく立てませでした。
床が傾いていて、ベッドが大きく曲がっていました。
それでもなんとかバランスを取って立ち上がり、
蛍光灯のヒモを引っ張ったのを覚えています。
電気はつきませんでした。
しばらくして、隣の部屋の先輩が助けに来てくれました。
とにかく脱出しようということになり、懐中電灯を片手に
階段のあるところへ向かいました。
でも、そこにあるはずの階段はなくなっていました。
階段は、バラバラになった壁材で埋まっていました。
何が起きたのか、さっぱり理解できませんでした。
あたりはしーんと静かでした。
「窓から逃げるしかない」。
そう判断し、部屋に戻りました。
部屋の中には、なぜか道路にあったはずの自動販売機と
ゴミ箱が転がっていました。
戦争が始まったのかとも思ったりもしました。
傾いた床を這うようにして窓に近づくと、
幸いなことに揺れの影響で窓が少し開いていました。
怖かったですけど、そこから飛び降りるしか道はありません。
まだ朝の6時前。
あたりは真っ暗です。
しかもP店長は目が悪く、メガネも失ってしまっていたので
下の道路がハッキリとは見えません。
でも懐中電灯の明かりにボンヤリと、あるはずのない近い場所に
アスファルトが見えます。
「地面が隆起したのかも、なんてラッキーなんだ」と
感じたことを覚えています。
意を決して飛び降りると、果たして道路はすぐそこにありました。
そして振り返って部屋を見てみます。
地面が隆起したように感じたのは間違いでした。
米屋のある1階が潰れて、P店長の部屋がある2階が
道路にまで落ちていました。
そのために地面が近く見えたのです。
そしてその潰れた1階には、大家さん夫婦が寝ていたはずなんです。
2人は潰れた家の下敷きになってしまっていました。
ようやく地震だということに気づきました。
でもボクには、下敷きになった大家さん夫婦を助けることが
できませんでした。
頭では思っていましたが、体が動きませんでした。
必死の思いで瓦礫の山から脱出したのに、また瓦礫にもぐって
二人を助ける勇気がありませんでした。
家が完全に崩れて自分が巻き込まれるのが怖くて怖くて、
その場から逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。
先輩の後ろについて、大家さんの名前を呼ぶのがやっとでした。
「もう無理や。あきらめよう」。
先輩がこう言うのを聞いて、ちょっとホッとしさえしました。
実際に救助は無理だったのかも知れませんでしたが、
ボクはなにをすることもできませんでした。
後ろめたさもあって、その後ボクはテレビの犠牲者情報などを
見ることができなくなりました。
大家さんが亡くなったことを認めたくありませんでした。
自分で助け出せなかったくせに、誰かに助けられたことにして、
罪悪感を頭から追いやっていました。
心の中では何度も謝りながらも、生きているはずだという
希望だけで自分をごまかしていました。
でも、数日後のニュースで、お二人が亡くなったことを
知りました。
ものすごい落ち込みました。
実際にはなにもできなかったかも知れませんでしたが、
自分のことだけを考えて逃げ出した自分がイヤでイヤで
たまりませんでした。
ご夫妻のおじさんのほうは、スポーツ観戦が趣味の方でした。
無口な方で、あまり話をしたことはありませんでしたが、
ある夜、外でバッタリと会って一緒に帰ることになったときに、
ポソっと「芝くんもスポーツ好きなんやね」と言われたことがあります。
どうやらボクの部屋にあったオリックスのメガホンを見たようです。
「私もスポーツ観戦が趣味でね」。
そこから話が弾み、「じゃあ今度一緒に見に行こう」
という約束までしました。
結局、その約束は果たされませんでした。
悔しい思い出のひとつなんですが、当時19才のボクと
80才を超えたおじさんとで、共通の話題があったことが
とてもうれしかったです。
もう、あれから13年になります。
今、ボクはヴィッセル神戸というクラブで働いています。
縁があって偶然入社することになって、現在に至るわけですが、
震災と同時に生まれたクラブで仕事しているということに、
なにか運命というか宿命を感じます。
ボクとおじさんが同じチームを応援していたように、
ヴィッセルの試合には、若い人からお年寄りまで、
この社会を構成するいろいろな方が集まります。
ヴィッセルがあるからこそ、みんながスタジアムという
空間を共有することができるんです。
考えてみてください。
ホムスタには、年間に20回も1万人以上の人が集まります。
それも、世代も性別も職業もまったく違った方たちです。
神戸にこのような場所が、他にあるでしょうか?
そういう意味もあって、クラブというものは、
地域にとってとても大きな存在なんだと思います。
そしてボクは、ヴィッセルで一生懸命働くことが、
おじさんとおばさんに対する、そして自分に対する
罪滅ぼしのように感じているのかもしれません。
おじさんにひいきの野球チームがあったように、
ヴィッセルがいろんな方から愛されて神戸の誇りと
なるように頑張ることが、ボクに課せられた
義務なんだと思います。
残念ながらボクは、勇気がなくて人を助けることが
できなかった人間です。
この先の人生の中で、同じような場面があったときにも、
その場を逃げ出してしまうかも知れません。
一度逃げてしまったボクに、再び立ち向かう自信はありません。
でもその代わりに、今課せられた仕事を必死にやり遂げることで、
なんとか自分が震災を生き延びてこの世に生きている意味を
見出したいと考えています。
ヴィッセルというクラブが、神戸の方にとって夢や希望の
拠りどころとなるように、グッズを作ったりチケットを
売ることが、ボクができる最大限のことだと考えて、
日々を過ごしています。
あの震災のとき、寝ていたボクの頭側にあった壁は、
柱1本を残して真っ二つに折れていました。
あの1本の柱が完全に折れていたら、壁に押しつぶされて
ボクは死んでいたと思います。
それでも命が助かったのは、神様が与えてくださった
何かがあったのだと考えています。
このヴィッセルというクラブが、神戸の方に愛される
チームとなって、震災の傷を癒し、心の支えに少しでも
なれるのであれば、神様の試練に少しは報えるのでしょう。
ヴィッセルというチームが存在する意義は、
いろんな人の苦しみや悩みや嫌なことを忘れさせ、
明日も頑張ろうという前向きな気力を運んでくること、
これに尽きると思います。
今日は、重たいメルマガになってしまいました。
でも、1月17日という日は特別です。
震災のことを思い出すのは辛いことですが、
せめて1年のうちこの日だけでも、亡くなった方のことや
ヴィッセルというクラブが神戸にある意義というものを
考えるようにしたいものです。
この日を決して忘れることの無いように、若いファンの方や
震災を知らない選手、クラブスタッフにも読んでもらいたいと
思って今回のメルマガを書きました。
そして、ファンの方も含めて、ヴィッセルに関わるすべての人が、
より良いクラブ、より良いスタジアムとなるように、
今後もヴィッセルを育てていってくだされば、
きっと世界一のクラブになるでしょう。
その日まで、トモニ戦いましょう。
ありがとうございました。
では、またのメルマガで。
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     ヴィッセル神戸 http://www.rakuten.co.jp/vissel/       
  ── Football is Entertainment!──
         ヴィッセルに関わる全ての人を幸せに!
              トモニイコウ
           We walk together forever.
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