「お金持ちって、世の中にどれくらいいるんだろう?」
「自分の資産状況は、世間全体で見るとどのあたりなのだろう?」
そう疑問に思ったことはありませんか?
資産形成の話になると、「億り人」や「超富裕層」といった華やかな話ばかりが目につきがちです。しかし、本当に大切なのは「他人と比較して羨むこと」ではなく、「現在の自分の立ち位置を知り、次のステージへ上がることで日々の暮らしや人生の選択肢を広げること」です。
今回は、資産運用の指標として有名な野村総合研究所(NRI)の「純金融資産保有額ピラミッド」をもとに、各階層のリアルな姿と、マス層から確実にステップアップしていくための具体的な行動指針を分かりやすく解説します。
1. そもそも「純金融資産」とは?
このピラミッドを見る前に、知っておくべき重要な基準が「純金融資産保有額」です。
純金融資産 =(預貯金・株式・投資信託・債券などの金融資産) − (住宅ローンや自動車ローンなどの負債)
不動産そのものの価値は含まず、「持っている金融資産から借金を引いた、本当の余力」を表します。
2. 日本の資産ピラミッド(5つの階層と割合)
野村総合研究所のデータによると、日本の全世帯(約5,500万世帯)は純金融資産の額によって5つに分類されます。
| 階層 | 純金融資産の目安 | 世帯数 | 全体に占める割合 |
| 超富裕層 | 5億円以上 | 約11.8万世帯 | 約 0.2% |
| 富裕層 | 1億円以上 〜 5億円未満 | 約153.5万世帯 | 約 2.8% |
| 準富裕層 | 5,000万円以上 〜 1億円未満 | 約403.9万世帯 | 約 7.4% |
| アッパーマス層 | 3,000万円以上 〜 5,000万円未満 | 約576.5万世帯 | 約 10.5% |
| マス層 | 3,000万円未満 | 約4,424.7万世帯 | 約 79.1% |
日本の約8割の世帯がマス層に位置しています。
つまり、アッパーマス層(3,000万円以上)に到達するだけでも上位約2割、準富裕層(5,000万円以上)になれば上位約10%という位置づけになります。
3. 各階層はどういう人たちか?(特徴とリアルな姿)
① マス層(3,000万円未満/全体の約79.1%)
- どんな人?:20〜30代の若年層、一般的な給与所得者、教育費や住宅ローンの返済ピークにある世帯。
- 暮らしと感覚:日々の生活費やローン返済、急な出費への不安がつきまといやすい段階です。
② アッパーマス層(3,000万円〜5,000万円/全体の約10.5%)
- どんな人?:家計管理が徹底している堅実派、共働き世帯、長期で積立投資を継続している40〜50代。
- 暮らしと感覚:資産3,000万円を超えると、万が一の病気や失業にも動じない「精神的な安定感」が生まれます。運用の複利効果(配当金や含み益)が実感できるようになる転換点です。
③ 準富裕層(5,000万円〜1億円/全体の約7.4%)
- どんな人?:企業の管理職・役員、中小企業オーナー、士業・自営業者、あるいは10〜20年以上投資を継続したベテラン個人投資家。
- 暮らしと感覚:配当金や利息などの「不労所得」が家計の大きな柱になり始めます。経済的な余裕から、仕事の選択肢が増えたり、退職時期を自分で選べるような「人生の主導権」を握れる領域です。
④ 富裕層・超富裕層(1億円以上/全体の約3.0%)
- どんな人?:成功した事業家、創業者、不動産投資家、株式等のキャピタルゲインを大きく得た層、親からの資産承継者。
- 暮らしと感覚:資産が生み出すリターン(配当や利回り)だけで生活費を十分に賄えるため、資産を減らさずに生活できる「完全な経済的自立」の状態です。
4. 【深掘り】全体の8割を占める「マス層」の中にある4つのステージ
野村総研の分類では「3,000万円未満」がすべてマス層と一括りにされますが、「資産0円」と「資産2,000万円」では生活の安定感やお金の向き合い方がまるで違います。
アッパーマス層へ確実にステップアップするためには、マス層の中にある4つの階段を一つずつクリアしていくのが近道です。
【マス層内の4ステップ】
Step 1: 資産 0円〜100万円未満 【防衛準備期】
↓(固定費の見直し・生活防衛資金の確保)
Step 2: 資産 100万円〜500万円未満 【投資スタート期】
↓(自動積立の習慣化・少額投資の経験)
Step 3: 資産 500万円〜1,000万円未満【資産形成加速期】
↓(複利の実感・1,000万円の壁突破)
Step 4: 資産 1,000万円〜3,000万円未満【アッパーマス助走期】
↓(配当・利益の全額再投資・入金力の最大化)
★ 次のステージ:アッパーマス層(3,000万円〜)
Step 1:資産 0円〜100万円未満【防衛準備期】
- 現状と心理:給料日前になると口座残高が不安になる段階。冠婚葬祭や家電の故障、車の維持費など、突発的な出費で家計が赤字になりやすい状態です。
- この段階の目標:まずは「生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)」を現金で確保すること。
- アクション:投資よりもまず固定費の見直し(スマホ代、不要なサブスク・保険の解約)。「給料が入ったら先に先取り貯金をする」仕組みを作り、残高ゼロ生活から脱出します。
Step 2:資産 100万円〜500万円未満【投資スタート期】
- 現状と心理:急な出費にも動じない「心のクッション」ができ、精神的な余裕が生まれます。貯金習慣が身につき、「お金を貯める楽しさ」が少しずつ分かり始める段階です。
- この段階の目標:少額から投資を始め、相場の値動きに慣れること。
- アクション:新NISAなどの非課税口座を開設し、毎月1万〜3万円などの無理のない範囲でインデックス投信や高配当株の積立を開始。「毎月勝手に資産が増えていく自動ルート」を完成させます。
Step 3:資産 500万円〜1,000万円未満【資産形成加速期】
- 現状と心理:同年代の平均貯蓄額を上回り始め、自信がついてきます。投資信託の運用益や株式の配当金が「数万円〜十数万円」規模になり、「お金が働いてくれる感覚」を初めて実感できます。
- この段階の目標:資産形成における最大の関門「1,000万円の壁」を突破すること。
- アクション:昇給やボーナスがあっても生活水準を上げず、投資への入金力を高める。得られた配当金や分配金は使わずに全額再投資し、複利の雪だるまを一気に大きくします。
Step 4:資産 1,000万円〜3,000万円未満【アッパーマス助走期】
- 現状と心理:純金融資産1,000万円を超えると、資産の増えるスピードが目に見えて加速します。年利3〜5%の運用でも年間30万〜100万円以上の利益・配当が生まれるため、自分の労働収入+資産の収入という「2馬力」の強さを実感できます。将来に対する漠然としたお金の不安は大幅に軽減します。
- この段階の目標:相場の下落に動じず、ルール通りの積立・保有を淡々と継続して3,000万円(アッパーマス層)へ到達すること。
- アクション:日々の株価の上下で一喜一憂せず、長期保有を徹底する。本業のスキルアップや制度の活用(小規模企業共済や確定拠出年金など)で節税と入金力を両立させ、ラストスパートをかけます。
5. 上の階層へ駆け上がるためのロードマップ
一気に「億」を目指す必要はありません。資産形成は一段ずつステップを登るゲームです。
[マス層(0〜3,000万円)]
↓(家計改善・毎月の積立習慣・1,000万円の壁突破)
[アッパーマス層(3,000万円〜5,000万円)]
↓(配当金・インデックス投資の複利加速+入金力の維持)
[準富裕層(5,000万円〜1億円)]
↓(資産防衛・事業/投資リターンの最大化)
[富裕層(1億円以上)]
【全体的な視点】階層を上げるための大原則
- 支出をコントロールする:収入が増えても生活水準(固定費)を安易に上げない。
- 時間を味方にした複利運用:新NISAや高配当株投資などを活用し、配当金や運用益を消費せず「再投資」し続ける。
- 入金力を保ち続ける:本業での収入増や、控除・共済制度などを活用した適切な節税で、投資に回せる原資を絶やさない。
【ピンポイントな視点】ステージ別・重点アクション
- アッパーマス層から「準富裕層」へ抜けるには
- この段階から「お金がお金を産む力」が急速に強くなります。
- 得られた配当金や運用益を全額再投資に回し、雪だるまの芯を一気に大きくする。
- リスクを取りすぎず、手堅い高配当株やインデックス投信のコア・サテライト運用を確立する。
- 準富裕層から「富裕層」へ抜けるには
- 暴落相場でも狼狽売りしないリスク管理と、長期保有できる優良資産のホールド。
- 「稼ぐ」「守る」「増やす」のバランスを最適化する。
まとめ:資産を増やす本当の目的は「人生の選択肢」を増やすこと
資産ピラミッドの上に行くことの意味は、高級車に乗ることでも贅沢をすることでもありません。
- 急なトラブルや不況に動じない「心の平穏」
- 嫌な仕事や人間関係から距離を置ける「自由」
- 大切な家族や自分の趣味に時間とお金を使える「人生の豊かさ」
これらを手に入れるためのチケットが「資産」です。
最もエネルギーが必要なのは「最初の0円〜1,000万円」ですが、そこを抜ければ複利の力が味方してくれます。
今どの位置にいたとしても、「現状の立ち位置を把握し、毎月決めた額を積み立て、得られた果実(配当・利益)を再投資する」という基本をブレずに続ければ、確実に1つ上のステージへ近づいていきます。
焦らず、一歩ずつ自分のペースで資産を育てていきましょう。


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