前期(2026年3月期通期)にEV戦略の見直しや減損処理等により4,000億円超の最終赤字を計上し、市場に大きな衝撃を与えたホンダ。
「ホンダの復活はあるのか?」と注目が集まった今回の2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月期)決算ですが、蓋を開けてみれば四半期としての営業利益が過去最高を更新する猛烈なV字回復となりました。
今回は、決算の要点、急回復をもたらした3つの要因、そして具体的な株価予想ターゲットを徹底解説します。
1. 2027年3月期 Q1(2026年4〜6月)決算ハイライト
まずは発表された主要数値を前年同期と比較します。
| 項目 | 2027年3月期 Q1 (2026年4-6月) | 前年同期 (2025年4-6月) | 前年同期比 (増減率) |
| 売上収益 | 6兆615億円 | 5兆3,402億円 | +13.5% |
| 営業利益 | 5,307億円 | 2,441億円 | +117.4%(2.17倍) |
| 税引前利益 | 6,050億円 | 2,923億円 | +107.0% |
| 四半期純利益 | 4,509億円 | 1,966億円 | +129.3%(2.29倍) |
| 1株当たり利益(EPS) | 115.84円 | 46.80円 | +147.5% |
- 営業利益・四半期純利益ともに第1四半期として過去最高を更新。
- 前期の落ち込みから一転、力強い収益力を証明する形となりました。
2. なぜここまで急回復したのか? 3つの勝因
① 北米市場でのハイブリッド車(HV)需要の爆発
世界的なEV需要の伸び悩みを受け、北米市場ではハイブリッド車(HV)への回帰が鮮明になっています。ホンダが得意とする「CR-V」「シビック」「アコード」のHVモデルが好調で、値引き(インセンティブ)を抑えた高利益率の販売が四輪事業を牽引しました。
② 盤石すぎる「二輪事業(バイク)」の稼ぐ力
インドや東南アジアを中心とする新興国市場で圧倒的シェアを持つ二輪部門が、今期も極めて高い利益率をキープ。安定したキャッシュ供給源として業績を下支えしています。
③ 想定以上の円安&前期の一時的損失の出尽くし
- 為替の追い風: 会社想定レート(1ドル=145円前後)に対し、足元は円安水準で推移。ホンダは対ドル1円の円安で年間100億〜120億円規模の営業利益押し上げ要因となります。
- 悪材料の出尽くし: 前期にEV関連の投資損失・減損を一括処理したため、本業の稼ぐ力がそのまま損益計算書に反映される筋肉質な体質に戻りました。
3. 通期業績予想の大幅上方修正
第1四半期の好結果を受け、会社側は通期見通しを上方修正しました。
- 通期売上収益: 24兆1,500億円(前期比 +11%)
- 通期営業利益: 従来予想 5,000億円 ➔ 6,500億円へ上方修正(+30%増)
- 通期純利益: 4,000億円へ黒字浮上
- 年間配当予想: 1株あたり70円(予想配当利回り 約4.2%前後)を維持
4. 【独自試算】今後の株価予想シナリオ
現在の足元株価(約1,650円近辺)をもとに、指標面およびチャート節目から今後の株価レンジを予想・試算しました。
| 期間 | 予想株価レンジ | 上値ターゲットの根拠 | 主な変動要因・リスク |
| 短期(1〜3ヶ月) | 1,650円 〜 1,780円 | 年初来高値(1,722円〜1,730円)の奪還と年初高値ブレイク | 好決算織り込み後の利確売り、為替の急な円高反転 |
| 中長期(半年〜1年) | 1,800円 〜 2,000円 | 会社予想EPS上方修正・PER約10〜11倍、PBR0.6倍台への是正 | 米景気減速、対中市場動向、日米金利差縮小 |
■ 株価算定の3つの視点
- バリュエーション(割安感の修正):
- 現在のPBRは約0.52倍と、東証が求める「PBR1倍」を依然として大きく下回る超割安水準です。
- 今後、自社株買いの追加発表や資本効率改善が進めば、PBR 0.6倍水準(約1,900円)への見直し買いが十分現実味を帯びてきます。
- 高配当利回りによる下値支持:
- 年間配当70円に対し、株価1,600円台での配当利回りは約4.2%超。
- 4%を超える高配当利回りが強力な下値クッション(1,500円〜1,550円付近での強い買い支え)として機能します。
- テクニカル面(レジスタンス突破):
- 2026年5月の安値(1,238円)から反発基調にあり、まずは年初来高値である1,720〜1,730円ラインを明確にブレイクできるかが焦点です。ここを抜けると心理的節目である1,800円〜2,000円の大台が視野に入ります。
5. まとめ&投資スタンス
- 前期の赤字は「膿の出し切り」。足元の本業収益力は過去最高レベル
- HV人気+二輪の鉄壁体制で、通期営業益6,500億円へ大幅増額
- 配当利回り4%超+PBR0.5倍台の割安感から、中長期の下値リスクは限定的
- 上値ターゲットは短期1,750円前後、中長期で1,900〜2,000円への上昇を想定
EVシフトの踊り場をハイブリッドの強みで巧みに乗り切り、本業のキャッシュ創出力を改めて見せつけたホンダ。割安・高配当・業績モメンタムの3拍子が揃ったことで、中長期投資家にとっても魅力的な投資妙味が戻ってきた決算と言えそうです。


コメント