今回は、日本の株式投資家の中でも屈指の人気を誇るNTT(日本電信電話)の2026年度第1四半期(2026年4月〜6月期)決算が発表されましたので、その内容をどこよりも詳しく、分かりやすく徹底解説します。
「今回の決算って結局良かったの?」
「IOWN(アイオン)やAI分野の進捗はどうなっている?」
「16期連続増配って本当?今から買っても大丈夫?」
といった疑問に対して、決算数値の裏側から今後の株価の見通しまで、投資家目線でじっくり掘り下げていきます。
1. 決算ハイライト:営業収益は過去最高を更新!増収増益の好決算
まず、今回のQ1(第1四半期)決算の全体像から見ていきましょう。一言で言えば、「売上高は過去最高を更新し、利益もしっかり伸ばした堅調な好スタート」と言えます。
2026年度 第1四半期 連結業績(前年同期比)
- 営業収益(売上高):3兆6,177億円(前年同期比 +3,557億円 / +10.9%)★過去最高更新!
- EBITDA(本業の現金創出能力):8,362億円(前年同期比 +348億円 / +4.3%)
- 営業利益:4,251億円(前年同期比 +200億円 / +4.9%)
- 当期利益(親会社の所有者に帰属):2,748億円(前年同期比 +151億円 / +5.8%)
通信業界は成熟産業と言われることもありますが、NTTは前年同期比で売上高+10.9%増という二桁成長を達成しました。インフレや為替変動、原材料・エネルギーコストの高騰が続く中でも、しっかりと増益(営業利益+4.9%)を確保できている点は、極めて高い事業基盤の安定感を示しています。
また、決算発表の冒頭では「令和8年熊本地震」への対応として、事業者の垣根を越えた「JAPANローミング」の迅速運用や、「docomo Starlink Direct」および公衆Wi-Fiの無料開放など、社会インフラとしての迅速な復旧対応についても触れられており、企業としての社会的信頼性の高さが改めて示されました。
2. セグメント別業績分析:何が業績を引っ張っているのか?
NTTの事業は大きく4つのセグメントに分かれています。どこが成長を牽引しているのかを細かくチェックしてみましょう。
① 総合ICT事業(ドコモグループ等)
- 営業収益:1兆6,170億円(前年比 +1,269億円)
- 営業利益:2,462億円(前年比 +65億円)
モバイルやスマートライフ事業を担うメインセグメントです。通信料金の競争が激化する中でも、ドコモの金融事業(ドコモの銀行ブランド展開やマネックスとの連携等)やソリューション分野の伸びが寄与し、着実な増収増益を維持しています。
② グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等)
- 営業収益:1兆2,789億円(前年比 +1,746億円)
- 営業利益:635億円(前年比 +57億円)
売上増(+1,746億円)の最大の推進力となったのがこの海外・ITソリューション事業です。世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)需要やデータセンター需要の上昇を背景に、売上・利益ともに大きく伸長しています。
③ 地域通信事業(NTT東日本・NTT西日本)
- 営業収益:7,636億円(前年比 +58億円)
- 営業利益:985億円(前年比 +6億円)
固定電話の減少トレンドはあるものの、「フレッツ光クロス」などの高速光回線の普及(カバー率80%突破)や法人向けITサービスの強化により、底堅い業績を維持しています。
④ その他(不動産・エネルギー等:NTT都市開発、NTTアノードエナジー等)
- 営業収益:4,424億円(前年比 +563億円)
- 営業利益:234億円(前年比 +53億円)
不動産事業や再生可能エネルギー事業などの非通信分野も前年から大きく増収増益となり、NTTの事業ポートフォリオの多角化が成果を上げています。
3. 将来の成長ドライバー:IOWN・AI・社会インフラDXの爆発的ポテンシャル
NTTを単なる「通信会社」として見ていると、この企業の真の価値を見誤ります。今回の決算で特に注目すべきは、将来の爆発的成長を仕込んでいる戦略的取り組みです。
(1) 次世代光通信「IOWN」のグローバル展開と実用化
NTTが世界的リーダーシップをとる次世代光技術「IOWN(アイオン)」が、いよいよ実証実験から本格的なビジネス展開フェーズへと移行しています。
- チリ銅公社(CODELCO)での遠隔操作:鉱山における重機の遠隔オペレーション高度化に向け、IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)の実証を開始。
- インドでの省電力データセンター調査:光電融合デバイス(PEC-2)を用いたスイッチにより、AI時代に急増するデータセンターの電力消費を激減させる実証を開始。
(2) AI時代の必須基盤「GPU over APN Testbed」の提供
AIの計算には大量のGPUが必要ですが、一箇所に集中させると電力や熱の問題が発生します。NTTはIOWN APNの超低遅延・大容量通信を生かし、全国8拠点(札幌、首都圏4拠点、金沢、大阪、福岡)にGPUを分散配置して一体的に利用できる「GPU over APN Testbed」の提供を開始(2026年7月)しました。これにより、「AIOWN(AI×IOWN)」の実現が一気に加速します。
(3) 社会インフラの持続可能な運営(メタウォーターとの提携など)
2026年7月、上下水道大手のメタウォーターと業務提携を締結。自治体が抱える「施設の老朽化」や「人手不足」という深刻な課題に対し、浄水場・下水処理場のDXやスマート化を通信・AI技術で支援し、広域インフラマネジメント事業という新たな巨大市場を開拓しています。
(4) その他の先進的先行投資
- 米国WinWireの子会社化(Azure領域の強化)
- NTT独自LLM「tsuzumi 2」の図表理解能力アップデート
- 「docomo Starlink Direct」接続者数が提供開始約2か月で500万人突破
- 100万量子ビットの光量子コンピューター実現に向けたOptQCとの資本業務提携
4. 株主還元:16期連続増配と2,000億円の自社株買い
投資家にとって最も気になる「株主還元」についても、NTTは期待を裏切りません。
① 16期連続増配の予定(1株あたり5.4円)
2026年度の年間配当予想は1株あたり5.4円(前年度5.3円から+0.1円増配)となっており、16期連続増配を達成する見込みです。 配当性向も44.6%と過度な無理のない水準であり、業績成長に伴う増配ストーリーが継続しています。
② 最大2,000億円規模の自社株買い
2026年5月に決議された上限2,000億円の自社株買い(期間:2026年5月11日〜2027年3月31日)が進められています。7月末時点で331億円の取得が完了しており、残り約1,669億円の買い余地があります。自社株買いは1株あたり利益(EPS)を高め、株価の下支え・上昇要因となります。
5. 【株価予想と将来の見通し】NTT株は今後どうなる?
ここからは、投資家が最も気になる「今後の株価の見通しと将来性」について考察します。
短期的な株価の見通し(〜数か月〜1年)
- 下値の堅固さ(下落リスクの低さ): Q1で過去最高売上・しっかりとした増益を確保したこと、そして来年3月末までに実施される「2,000億円の自社株買い」による買戻し圧力がかかることから、株価の調整局面でも強い下値支持線(サポートライン)として機能する可能性が高いです。
- 配当利回りによる下支え: 連続増配姿勢が明確であるため、株価が下落した際には配当利回りの魅力からインカムゲイン狙いの買戻し(特に新NISA枠での個人投資家の資金流入)が入る展開が予想されます。
中長期的な株価の見通し(3年〜5年先の将来像)
- 「通信株」から「AI・光インフラの世界共通プラットフォーマー」への再評価(マルチプル・リレーティング) 現在、世界のメガテック企業(GAFAM等)は巨大なAIデータセンターの電力不足と通信遅延に頭を悩ませています。NTTの「IOWN(光電融合技術)」はその課題を解決する唯一無二の世界的ソリューションです。チリやインドをはじめとするグローバル展開が加速し、実用化・収益化が数年後に本格化すれば、単なる国内通信株としての評価から「グローバルDeep Tech・AIインフラ銘柄」へと株式市場の評価(PER水準)が切り上がる可能性があります。
- 配当金の雪だるま的成長(配当生活の強い味方) 16期連続増配の実績が示す通り、NTTは株主還元を非常に重視しています。長期保有することで受取配当金が毎年増えていくため、複利効果や配当再投資の効果が絶大です。
結論・投資スタンス
NTT株は、「超安定した通信基盤による高水準なインカムゲイン(配当)」と「IOWNやAI・DXによる中長期のキャピタルゲイン(株価上昇)」の両方を狙える、極めてバランスの取れた有数の銘柄です。
- コツコツ積立投資家・高配当株投資家:毎月定額積み立てや下がった局面での押し目買いを継続する戦略が極めて有効です。
- 成長株投資家:IOWNのグローバル採用事例や、分散GPU・量子コンピューティングなどのニュースフローに注目しておくと、株価の上振れ要因を捉えやすいでしょう。
6. まとめ
2026年度第1四半期の決算を踏まえた要点は以下の通りです:
- 業績良好:売上高3.61兆円で過去最高更新、各利益項目も前年超えの好スタート。
- 成長の種:IOWNのグローバル展開、分散GPU実証環境(GPU over APN)、インフラDXなど未来への布石が着実。
- 株主還元:16期連続増配(1株5.4円予想)&2,000億円の自社株買いで投資家還元姿勢は万全。
- 株価の展望:自社株買いと配当による下値の堅さ+IOWN実用化による中長期的な株価上昇に期待大。
日本を代表する巨大企業でありながら、常に未来のテクノロジーへ挑戦し続けるNTT。配当金生活を目指す長期投資家にとっても、ポートフォリオの核として非常に頼もしい存在と言えるのではないでしょうか。
※本記事は決算資料に基づく情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断で行ってください。


コメント